「ホットヨガは体に良くない」とか「ホットヨガでは痩せない」という話を聞いたことはありませんか?
気になったので調べてみました。
ホットヨガは健康の維持や増進、適性体重の維持に効果あり!その根拠は?
「ホットヨガなどのように暑熱環境下(32~34℃)で行う運動が身体に与える影響」について、多面的に実証実験をした論文を見つけました。
北海道にある「北海道体育学会」が3年前に発表したものです。
出典
原著論文「中強度有酸素運動における温度条件の差異が運動誘発性酸化ストレスに与える影響」北海道体育学研究
すごく簡単にまとめると、
という実証実験を行った結果、
しかし、常温環境下(20℃)と比較して多量の発汗が予想されるため、こまめな水分補給等の注意が必要。
という結論になりました、という内容の論文です。
運動で誘発される酸化ストレスとは?
この論文の中で私が特に気になったのは「運動誘発性酸化ストレス」というものの存在です。
「酸化ストレスが増加・蓄積→生活習慣病や老化の促進につながる」と考えられていて、それが運動によって誘発される場合もある。
要するに、一般的に健康に良いとされている運動も、身体に良くない影響を与えてしまう場合もある、ということですよね。
今回の検証では、ホットヨガのような「暑熱環境下における中強度有酸素運動」で、「運動誘発性酸化ストレスが高まる危険性は低い」という結果になったのでひとまず安心はしましたが…
運動時の外的要因による暑熱曝露は、健康面において有益な影響を期待できる。一方で、深部体温の過度な上昇等により、熱中症のリスクが高まるなど、身体に負の影響を与える可能性も考えられる。
その1つに、運動誘発性酸化ストレスの増加が挙げられる。
酸化ストレスとは、活性酸素種(Reactive oxygen species;ROS)による脂質やタンパク質、DNA等生体組織の酸化損傷のことである。その増加や蓄積が、生活習慣病をはじめとする多くの疾病や生理的な老化の促進につながると考えられている。
検証内容と結果を総括した部分の引用文も載せておきます。
検証内容と結果まとめ
総括
本研究は、健常な男子大学生10名を対象に、50%VO2peakに相当する負荷で、60分間の一定負荷運動を常温環境下(20℃)と暑熱環境下(32~34℃)の2条件で実施させ、運動前、中、後の各指標の変化から、温度環境の違いが運動誘発性酸化ストレスおよび抗酸化能に与える影響について検討した。
1.Heat Ex(注:暑熱環境下)では、Normal Ex(注:常温環境下)と比較して、%VO2peakや運動中の総酸素摂取量、体表面温度および鼓膜温が有意に高く、血中尿酸値の相対値変化がより大きく増加するなど、身体への高いストレス状態が観察された。
2.運動前後の尿中8-OHdGレベルおよび血清・RO消去能は,両条件ともに有意な変化は認められず、2条件間に有意差は認められなかった。
3.運動中のRER(注:呼吸交換比率)は、Heat Ex(注:暑熱環境下)ではNormal Ex(注:常温環境下)と比較して有意に低い値を示した。
以上のことから、暑熱環境下における中強度有酸素運動は、常温環境下に比較して身体へのストレスレベルが高い可能性があるが、DNA酸化損傷を伴う運動誘発性酸化ストレスが高まる危険性は低いことが明らかとなった。
RERの結果から、暑熱環境下では脂質代謝の高まりが期待できるため、安全面に留意して実施することで、健康の維持・増進に効果的な運動環境であることが示唆された。
「健常な男子大学生10名」という最も体力があるだろう人達を対象とした検証結果という条件は充分に考慮する必要がありますが、
こまめな水分補給など安全面に注意しながら、自分の体力を考慮して行えば「身体に危険とは言えない」し、脂質代謝の高まりが期待できるという結果から「ダイエット効果も望める」と言える結果なのでは?と思います。